口蹄疫 神鹿は野生、隔離できず見回るしか…奈良県苦悩(産経新聞)

 宮崎県で家畜の伝染病、口蹄(こうてい)疫が拡大している問題で、奈良公園(奈良市)のシカの管理にあたる奈良県などが対応に頭を悩ませている。「野生で1カ所にとどめておけない」(県ならの魅力創造課)シカの感染予防は現実的に不可能。感染が起きた場合、国の天然記念物に指定され、観光客らからも親しまれているシカをどう扱うかという難題にも直面する。

 公園のシカの保護にあたる財団法人「奈良の鹿愛護会」は、宮崎県での口蹄疫感染発生が報じられると同時に、パトロールする職員がシカに感染症状が見られないかをチェックする態勢をとった。26日も早朝からシカの食事の様子を丹念に観察し、口内などに水疱がないかを調べた。

 愛護会職員で獣医師の吉岡豊さん(62)は「職員は口蹄疫に感染した家畜を撮影したDVDを見るなどして症状を把握し、シカを観察している。見回りの回数も増やした」と話す。

 今月6日には、異常を確認次第、会の獣医を通じて報告する連携も県と確認。ただ、感染を水際で食い止める策はないのが現状だ。

 奈良公園周辺には、約1千頭のシカが生息。病気やけがで「鹿苑(ろくえん)」と呼ばれる施設に保護されているシカのほかは、約500ヘクタールという広大な公園内や周辺を自由に動き回っている。

 県ならの魅力創造課は「1カ所に集めて避難させるのも、観光客との接触を全面的に禁じるのも現実的でない」。愛護会も鹿苑内の消毒は以前から実施しているが、公園全体の消毒は不可能だ。

 今後、宮崎県外への口蹄疫感染の拡大が確認された場合、「シカと家畜が接触する可能性もあり、対応を文化庁と協議する必要がある」(同課)という。悩ましいのは、万が一、シカが感染した場合だ。「天然記念物だが、文化庁の許可があれば処分もできなくはない。ただ、『神鹿(しんろく)』として地元で敬われ、親しまれているだけに激しい反発も予想される。うかつに答えが出せない」

 愛護会職員の甲斐義明さん(41)は「注意をしてパトロールしているが、口蹄疫に感染したシカが発見されないことを願うばかり」と話した。

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